入社式で新入社員に向けて挨拶をするとき、どのようなことを話せばいいのでしょうか。
会社の代表者として、あるいは上司や先輩として、ふさわしい挨拶で新入社員を迎えたいものです。
◆この記事でわかること
- 入社式で挨拶をするときの基本構成
- 入社式での挨拶に役立つ例文やテーマ
- 入社式で挨拶をするときの注意点
このような、入社式での挨拶にまつわる会社側の課題を本記事で解決しましょう。
ぜひ、本記事をご活用いただき、ふさわしい挨拶で新入社員をお迎えください。
入社式で挨拶をする「会社側」の目的は?
ここでは、入社式での挨拶を考える前に、まず会社側の目的をつかんでおきましょう。
- ●新入社員を社会人として承認するため
- ●新入社員に企業理解を深めるため
- ●新入社員の所属意識を高めるため
それぞれの目的について簡潔に解説します。
新入社員を社会人として承認するため
入社式は、新入社員を新社会人として迎える節目の場でもあります。
新入社員を社会人として承認することで、新入社員の社会人としての自覚や責任感が強まるでしょう。
新入社員に企業理解を深めるため
入社式の挨拶で会社の理念や経営方針、今後の方向性などを述べるのは、新入社員への企業理解を深めるためです。
また、社長や役員といった経営層から直接メッセージを受けることで、新入社員にとっては企業人としての指針を得る機会となります。
新入社員の所属意識を高めるため
入社式というイベントを全社挙げて共有することで、新入社員には「この組織の一員になった」という実感がわきます。
このような会社への所属意識は、やがてチームの一員として成長したり、チャレンジしたりすることへの意欲向上につながるでしょう。
【会社側】入社式で挨拶するときの基本構成
入社式での挨拶は、以下のような基本構成に沿ってまとめるとスムーズに作成できます。
- 歓迎の言葉:入社や入社式を迎えたことの祝福
- 贈る言葉:社会人としての心構えや在り方など
- 激励の言葉:新たな門出に向けたエールなど
- 会社について:会社の理念や事業の方向性など
- 締めくくり:新入社員に期待していること
それぞれの項目ごとに例文を紹介しますので、挨拶のポイントをつかんでいきましょう。
(1)歓迎の言葉
歓迎の言葉では、入社や入社式を迎えたことの祝福を述べましょう。
本日はご入社、誠におめでとうございます。
皆さんを私たちの仲間としてお迎えできることを、心から嬉しく思います。
この日を新たな人生の第一歩として、大いなる希望を胸に踏み出してください。
(2)贈る言葉
贈る言葉では、新社会人として迎えた節目に際し、社会人としての心構えや在り方などを説きましょう。
社会人として求められるのは、自ら考え、責任を持って行動する姿勢です。
同時に、仲間や先輩と協力しながら、学びを重ねることも大切です。
どうか失敗を恐れず、社会人として、そして企業人として成長していってください。
(3)激励の言葉
激励の言葉では、新入社員の新たな門出に向けたエールを贈りましょう。
これからの道のりには、困難や壁に直面することもあるでしょう。
しかし、その一つ一つが皆さんを必ず成長させます。
ぜひ、挑戦することを恐れず、前向きな気持ちで新しい環境に飛び込んでください。
私たちも皆さんを全力で支えます。
(4)会社について
新入社員に向けて、企業理念や経営方針、事業の方向性など会社について述べましょう。
当社は「〇〇を通じて社会に貢献する」という理念のもと、多様な事業を展開しています。
これからの社会や市場の動向に迅速かつ柔軟に対応しつつ、常に挑戦し続けることを目指しています。
ぜひ、皆さんにもその一員として大いに力を発揮していただきたいと思います。
(5)締めくくり
最後は、入社後の新入社員に期待していることを述べて締めくくりましょう。
新入社員の皆さんの若い力と新しい発想は、会社の未来を切り開く大きな原動力となります。
この日を機に、全社一丸となってともに歩み、社員一人一人が活躍しながら、会社をより良くしていきましょう。
以上の基本構成に沿って「起承転結」を考慮しながらまとめましょう。
【会社側】入社式で挨拶するときに役立つ例文
入社式での挨拶は、それぞれの立場によって言葉遣いや表現が異なるため、立場に合わせた挨拶を考えましょう。
ここでは、社長や役員などの重役のほか、上司や先輩、社外からの来賓など立場別にわけて例文を紹介します。
社長や役員など重役の場合
社長や役員などの重役から挨拶する場合は、およそ2~3分の所要時間を想定し、1分あたり300文字程度を目安にまとめましょう。
皆さん、ご入社おめでとうございます。本日、こうして新たに当社の仲間としてお迎えできることを心より嬉しく思います。社会人としての第一歩を踏み出す大切な節目の日として、社員一同で祝福いたします。
社会人として歩み始める皆さんにお伝えしたいのは「主体性を持つこと」の大切さです。先輩や上司からの指示を待つのではなく、自ら考え、行動することで得られるものは多く、職場での日々が有意義になります。また、仲間と協力し、ときに助け合う姿勢も忘れないでください。
もしかすると、新しい環境に戸惑い、壁にぶつかることがあるかもしれません。しかし「千里の道も一歩から」ということわざがあるように、大きな成果も小さな一歩の積み重ねから生まれます。どうか失敗を恐れず、果敢に挑戦し続けてください。
当社は「○○」を企業理念として掲げ、○○を進めています。昨年は新製品の開発で業界をリードし、社会から高い評価をいただきました。今後は皆さんにもその挑戦の担い手として大いなる活躍を期待しています。
最後に、若い力と新しい発想を持つ皆さんは、この会社の未来を創っていく大切な存在です。一人ひとりの成長を心から楽しみにしていますので、ともに歩み、会社を発展させていきましょう。
上司や年次が離れた社員の場合
上司や年次が離れた社員から挨拶する場合は、およそ1~2分の所要時間を想定し、1分あたり300文字程度を目安にまとめましょう。
新入社員の皆さん、ご入社おめでとうございます。今日から皆さんは、私たちの大切な仲間です。皆さんの入社を心から歓迎いたします。
今日から新社会人となられる皆さんに、先輩として一言助言したいのは「責任感」と「学ぶ姿勢」についてです。これからは任された仕事をやり遂げる責任を持ちつつ、常に学び成長しようとする心を忘れないでください。
入社後は、困難や不安もあるかもしれません。しかし仲間と支え合い、一歩ずつ前進すれば必ず乗り越えられます。私たち先輩社員も皆さんを全力でサポートします。
当社は企業理念として「○○」を掲げています。社会から信頼される存在であるために、皆さん一人ひとりの力が欠かせません。皆さんの成長と挑戦を心から期待していますので、ともに頑張りましょう。
年次が近い先輩や社員の場合
年次が近い先輩や社員から挨拶する場合は、およそ1分の所要時間を想定し、1分あたり300文字程度を目安にまとめましょう。
皆さん、ご入社おめでとうございます。○年前に入社した先輩として、皆さんを心から歓迎いたします。
私自身、入社当初は不安や緊張でいっぱいでした。しかし先輩方に支えられ、努力を重ねるうちに仕事のやりがいや社会人としての成長を実感できるようになりました。
当社は社員の挑戦を歓迎し、互いに支え合う風土があります。どうか失敗を恐れず、新しい一歩を踏み出してください。私たちも仲間として全力で応援します。ともに頑張りましょう。
社外からの来賓の場合
社外からの来賓として挨拶する場合は、およそ1~2分の所要時間を想定し、1分あたり300文字程度を目安にまとめましょう。
新入社員の皆さん、本日はご入社、誠におめでとうございます。社会人としての門出を迎えられたこと、心から祝福いたします。
御社との○○において、長年お付き合いさせていただいている弊社から、一言ご挨拶を述べさせていただきます。入社後は、さまざまな課題や困難に直面することでしょう。しかし、どのような局面でも大切なのは「誠実」であること、そして学び続ける姿勢です。環境は絶えず変化しますが、その変化を受け入れ、前向きに成長する人が未来を切り開きます。
また、「継続は力なり」という言葉があるように、日々の努力がやがて大きな成果となります。どうか、なにごとも諦めず果敢に挑戦してください。
御社は「○○に貢献する企業」として飛躍を続けられています。その未来を担うのは、今日入社された皆さんです。どうか会社の一員であることに誇りと自信を持って、新しい一歩を踏み出してください。
【会社側】入社式での挨拶にふさわしいテーマ
ここでは、入社式での挨拶に使えるテーマを5つ紹介します。
- ことわざや偉人の名言
- 企業理念や企業風土
- 価値観や社員の働き方
- 入社時のエピソード
- 社内でのエピソード
それぞれのポイントについて解説しますので、これから挨拶を考えるときの参考にしてください。
ことわざや偉人の名言
ことわざや偉人の名言を引用しながら挨拶すると「印象に残る」「説得力が増す」「行動の指針になる」などの利点があります。
挨拶をしている人からの直接的な言葉でないため、新入社員が受け止めやすく、共感しやすいのもメリットです。
いくつか入社式向けの「ことわざ」と「名言」を紹介しましょう。
ことわざの例
意味 / 日々の積み重ねが大きな成長や成果につながる。
意味 / 地道に努力を重ねれば、やがて成果や信頼につながる。
意味 / どれだけ大きな目標も、小さな一歩から始まる。
偉人名言の例
― パブロ・ピカソ(世界的な有名画家)
― ピーター・ドラッカー(現代経営学の父)
― ウィンストン・チャーチル(元イギリスの首相)
企業理念や企業風土
入社式で企業理念や企業風土を示すことで、新入社員にとっては働く上での指針となります。
また、会社の一員としての所属意識や帰属意識を高めるため、労働意欲の向上にもつながるでしょう。
価値観や社員の働き方
新入社員に安心感を与えたりキャリア形成への意欲をもたせたりするため、入社後のイメージを具体的につかんでもらうことが大切です。
たとえば、「フレックスタイムやリモートワークなどの制度を活用した多様な働き方を推進している」「従業員のワークライフバランスを尊重している」など、会社が重視する価値観や社員の働き方を紹介しましょう。
入社時のエピソード
先輩社員が話す入社当時の体験談は、新入社員に共感してもらいやすく、入社後の仕事にも安心感を生みます。
たとえば、「最初は失敗もあったが、周囲の協力や諦めない挑戦が『いま』の自分を形成した」といったエピソードで、期待と同じくらい不安を抱いている新入社員を激励しましょう。
社内でのエピソード
企業理念や事業内容とは別に、社内の取り組み姿勢が伝わるようなエピソードを話すと新入社員の会社への関心が高まります。
たとえば、「昨年、○○部において新製品開発プロジェクトで業界をリードする成果を上げました。課題や困難もありましたが、チーム一丸となって挑戦した結果です。この体験は私たちにかけがえのない誇りをもたらし、今後の取り組みの礎となっています」など、具体的な成功例や取り組み方を紹介すると、会社の強みや風土が伝わりやすくなります。
【会社側】入社式で挨拶をするときの注意点
ここでは、入社式での挨拶で失敗しないよう気をつけたいマナーについて紹介します。
挨拶の所要時間を決めておく
入社式での挨拶は基本構成に沿って要点をまとめておくことが大切です。
まとまりのない挨拶をダラダラと話されると新入社員を疲れさせます。
挨拶の時間は1分あたり300文字程度を目安にして、所要時間内に収まるよう調整しましょう。
挨拶が高圧的にならないよう
新入社員への挨拶では、先輩や上司、経営者という立場で話すため、言葉遣いや表現に気をつけないと高圧的になってしまいます。
新入社員に激励の言葉や社会人としての心構えを述べるにしても、あくまでも同じ会社の一員というフラットな立場でメッセージを届けることが大切です。
挨拶を面白さで攻めすぎない
新入社員の緊張をほぐそうと、無理にギャグや自虐ネタで面白くする必要はありません。
たとえ社風にもとづいたカジュアルな入社式であっても、丁寧な挨拶で迎えてあげましょう。
挨拶の中身を面白くするのではなく、新入社員への温かな気持ちや親しみのある言葉遣いを心がけることが大切です。
まとめ
入社式で新入社員に向けて挨拶をするときは、会社側の目的をつかんでから内容を考えましょう。
- ●新入社員を社会人として承認するため
- ●新入社員に企業理解を深めるため
- ●新入社員の所属意識を高めるため
さらに、基本的な構成に沿って内容を考えると入社式での挨拶がまとまりやすくなります。
- 歓迎の言葉:入社や入社式を迎えたことの祝福
- 贈る言葉:社会人としての心構えや在り方など
- 激励の言葉:新たな門出に向けたエールなど
- 会社について:会社の理念や事業の方向性など
- 締めくくり:新入社員に期待していること
ぜひ、本記事で紹介した立場別の例文や入社式向けのテーマも参考にしながら、ハレの日にふさわしい挨拶で新入社員をお迎えください。
尚、入社式の企画や会場選びについては関連記事がありますので、よければ合わせてご参照ください。