会議室のセッティングや着席で悩むのが席次のカギとなる上座と下座の位置ではないでしょうか。
「役職者などの上席はどこに配席すべき?」
「上座と下座の配置に迷ったときの判断基準は?」
「会議室のレイアウトで上座の位置は変わる?」
このように、会議室の席次にまつわる疑問や課題を本記事で解決しましょう。
◆この記事でわかること
- 会議室における上座・下座の見分け方
- 会議室のパターン別で見る上座・下座の位置
- 会議室の上座をすすめられたときの対処
どのようなセッティングにも柔軟に対応できるよう会議室の図解を加えながらパターン別で解説しますので、これからの準備や当日の席選びにご活用ください。
会議室の席次|上座・下座とは
会議の出席者の中で重役や議長など最も立場が上の人を配席するのが上座です。出入口の近くを下座とするのは人の往来が集中するため騒がしいという理由のほか、運営スタッフにとって諸々の対応がしやすく、会議中の離席がしやすいためでもあります。
とはいえ、出席者の体調や車椅子利用など条件によっては出入口付近の方が好ましい場合もありますので、出入口から最も遠い席が「上座」という原則には柔軟に対応しましょう。
ほかにも上座と下座の判断基準がありますので、いくつか主なものを紹介します。
- ●出入口が「2つ」ある場合は通行量が多い方を下座の基準にする。
- ●出席者に外の景色を見せたい場合は窓側の席が「下座」となる。
- ●議長や進行役がいる場合は、最も近い席が「上座」となる。
- ●スクリーンやホワイトボードがある場合は、見やすい場所が「上座」となる。
どの席が最も快適に過ごせるかといった条件も上座を決める基準です。
また、日本においては「左上右下(さじょううげ)」という礼法がありますので、たとえば議長に並んで座る人は左側が「上座」で右側が「下座」の配置になります。
ただし、欧米を中心にした諸外国では国際儀礼(プロトコル)とされる「右上位」「左下位」を採用しています。日本とはマナーが真逆ですので、外国のゲストが出席する場合は配席に注意しましょう。日本国内での会議であれば日本の作法を説明した上で「左上右下(さじょううげ)」としてもかまいません。
会議における上座・下座は会議室のセッティングによっても異なるため、次の章からレイアウトごとの配置を目安としてご参照ください。
会議室の席次|対面形式の場合
長テーブルを挟み、出席者が横並びで向かい合う対面形式は、一般的に少人数での打ち合わせや重役会議、取引先との商談といった緊密な会議に適用されます。
基本の配置
出入口から最も遠い席となる「1」が上座で、下座に向かって「2」→「3」と立場順で並ぶ形です。出入口側の列も同様で、上座の向いから「4」→「5」→「6」と立場順で下座へと並びます。
議長席を片側に配席
議長がテーブルの片側に着席する場合は、議長に近く出入口から離れている席を上座とし「1」→「2」と向い合わせに配席します。あとは議長から離れていくにつれ出入口を基準に「3」→「4」→「5」→「6」という順番でジグザグに並ぶ形です。
議長席を中央に配席
議長を挟んで3人が並ぶ場合は「左上右下(さじょううげ)」で議長の左側「1」が上座となり右側に「2」という形で立場順に配席します。出入口側の列は上座の位置に立場を合わせて「3」を中央に配席し、それぞれ「1」と「4」、「2」と「5」が向き合う形で下座へと並ぶ形です。
来客と対面して着席
横並びで「3人」「5人」と座る場合は中央席が上座です。来客が着席する上座には「左上右下(さじょううげ)」で「1」の左側に「2」、右側に「3」という形で立場順に配席。出入口側の列は上座の位置に立場を合わせて「4」を中央に配席し、それぞれ「2」と「5」、「3」と「6」が向き合う形で下座へと並ぶ形です。
スクリーンやホワイトボードを設置(その1)
スクリーンやホワイトボードを出入口の反対側に設置した場合は、その向いの見やすい場所が上座です。そして上座の中央に「1」、その右側で出入口から遠い席を「2」、出入口に近い左側に「3」と並びます。向い側の列は出入口から遠い順で「4」→「5」→「6」と下座に向かって配席する形です。
スクリーンやホワイトボードを設置(その2)
スクリーンやホワイトボードをテーブルに垂直で設置した場合は、そこから近く出入口から最も離れている席を上座とし、「1」→「2」と向い合わせに配席します。あとはスクリーンやホワイトボードから離れていくにつれ出入口を基準に「3」→「4」→「5」→「6」という順番でジグザグに並ぶ形です。
会議室の席次|コの字型の場合
テーブルをカタカナの「コ」の字型に配置したスタイルは内側のスペースにプロジェクターを設置するのに向いているため、プレゼンや企画会議、業務報告会などに適します。
スクリーンやホワイトボードを設置
スクリーンやホワイトボードをテーブルに垂直で設置した場合は、そこから近く出入口から最も離れている席を上座とし、「1」→「2」と向い合わせに配席します。あとはスクリーンやホワイトボードから離れていくにつれ出入口を基準に「3」→「4」→「5」→「6」→「7」という順番でジグザグに並ぶ形です。
議長席を中央に配席
議長が上座の列と下座の列の中央に着席する場合は、議長に近くを出入口から最も離れている席を上座とし、「1」→「2」と向い合わせに配席します。あとは議長から離れていくにつれ出入口を基準に「3」→「4」→「5」→「6」という順番でジグザグに並ぶ形です。
会議室の席次|ロの字型の場合
テーブルで四方を囲んだ中央に空間ができるロの字型は、ほどよい距離を保ちながら向かい合うスタイルになるため役員会議や予算会議などの硬めなテーマ、フォーラムやシンポジウムなどのフォーマルなシーンに適します。
基本の配置
まず出入口から最も遠い席の上座中央に「1」を配席。次に「1」を中心にして「左上右下(さじょううげ)」で左側に「2」、右側に「3」という形で立場順に並びます。
そこから「4」→「5」→「6」→「7」という順番でジグザグに配席。出入口側の列である下座は「8」→「9」→「10」と下座へ向かって出入口から遠い順で並ぶ形です。
議長席やスクリーンを設置
議長席のほか、スクリーンやホワイトボードをテーブルに垂直で設置した場合は、そこから近く出入口から最も離れている席を上座とし、「1」→「2」と向い合わせに配席します。あとは議長席やスクリーンから離れていくにつれ出入口を基準に「3」→「4」→「5」→「6」→「7」という順番でジグザグに並ぶ形です。
会議室の席次|スクール形式の場合
テーブルと椅子をスクリーンやホワイトボード、演台などのある前方向きに設置するスクール形式は、研修会や講演会、講演会、セミナー、内定式、発表会、社員総会などに適します。
基本の配置
スクリーンやホワイトボードのほか、演台や表彰台などが前方にあるため、最も見やすい前方中央が上座となります。それぞれのテーブルでは会場の中央が「1」で上座となり、壁に向かう形で「2」以降を降順で配席します。
テーブルごとの配置としては出入口から最も遠い「1」、その左側に「2」、「1」の後ろに「3」→左側に「4」と下座に向かって降順です。テーブルを3つ以上並べる場合は、座席のように会場の中央を上座としながら壁に向き降順の席次を最前列から最後列へ向かって配席する形です。
尚、スクール形式に似たデスクなしのシアター形式も同様の配置となります。
司会者がいる場合
司会者がいる場合は司会者に最も近い席が上座となります。司会者は参加者から見て左側の「下手」に立つのが一般的なマナーです。テーブルごとの配置としては司会者から最も近い「1」、その右側に「2」、「1」の後ろに「3」→右側に「4」と配席します。
また、それぞれのテーブルにおいても司会者に近い席が「1」で上座となり、遠くなるにつれて「2」以降を降順で配席。テーブルを3つ以上並べる場合も、司会者に近い席を上座としながら降順で並ぶ席次を最前列から最後列へ向かって配席する形です。
尚、スクール形式に似たデスクなしのシアター形式も同様の配置となります。
会議室の席次|島型形式の場合
テーブルと椅子を島型に設置した「アイランド形式」とも呼ばれるスタイルは、研修会でのグループディスカッションやグループワーク、ブレスト会議、パーティを兼ねた社員総会や決起集会などに適します。
基本の配置
スクリーンやホワイトボードのほか、演台や表彰台などが前方にあるため、最も見やすい前方中央が上座となります。テーブルごとの配置としては出入口から最も遠い「1」、その左側に「2」、「1」の後ろに「3」→左側に「4」と下座に向かって降順です。
また、それぞれのテーブルにおいても中央が「1」で上座となり、「左上右下(さじょううげ)」で「1」の左側に「2」、右側に「3」と「4」→「5」→「6」も左右交互に立場順で配席します。
テーブルを3つ以上並べる場合も、座席のように会場の中央を上座としながら、壁に向かって降順に並ぶ席次を最前列から最後列へと配席する形です。
司会者がいる場合
司会者がいる場合は司会者に最も近い席が上座となります。司会者は参加者から見て左側の「下手」に立つのが一般的なマナーです。テーブルごとの配置としては司会者から最も近い「1」、その右側に「2」、「1」の後ろに「3」→右側に「4」と配席します。
また、それぞれのテーブルにおいても司会者に近い席が「1」で上座となり、「左上右下(さじょううげ)」で「1」の左側に「2」、右側に「3」と「4」→「5」→「6」も左右交互に立場順で配席します。
テーブルを3つ以上並べる場合も、司会者に近い席を上座としながら、壁に向かって降順に並ぶ席次を最前列から最後列へと配席する形です。
会議室で「上座」を勧められたら?
こちらが下座に着席しようとしていても、先方から上座を勧められることがあります。その場合、シチュエーションによって対応が異なりますので注意しましょう。
●訪問先に出向いた場合 | 丁寧にお礼をして上座に着席します。 |
●来賓として迎えられた場合 | 丁寧にお礼をして上座に着席します。 |
●目上の人に勧められた場合 | いったん遠慮し「恐れ入ります」「お言葉に甘えて」」などお礼を言ってから上座に着席します。 |
まとめ
会議室の上座・下座を見分ける基本をおさらいしましょう。
また、いくつか状況に応じた見極めのポイントがあります。
- ●出入口が「2つ」ある場合は通行量が多い方を下座の基準にする。
- ●出席者に外の景色を見せたい場合は窓側の席が「下座」となる。
- ●議長や進行役がいる場合は、最も近い席が「上座」となる。
- ●スクリーンやホワイトボードがある場合は、見やすい場所が「上座」となる。
ただ、出席者の体調や車椅子利用といった条件のほか、窓の有無や出入口が複数ある場合は通行量なども考慮し、どの席が最も快適に過ごせるかといった条件も上座を決める基準となりますので基本を押さえつつ柔軟に対応することが大切です。
また、日本においては「左上右下(さじょううげ)」という礼法がありますが、欧米では国際儀礼(プロトコル)とされる「右上位」「左下位」を採用しているため日本とはマナーが真逆です。日本国内での会議に外国のゲストが出席する場合は配席に注意し、日本の作法を説明した上でアテンドするなどしましょう。
本記事では、会議室レイアウトごとの席次について図解とともに解説しました。ぜひ、本記事を参考にしながら実際のセッティングや参加者の立場に合わせて最適な配席ができるようお役立てください。
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