永年勤続表彰を社内行事として開催するにあたり、どのように実施すればいいのかとお悩みではありませんか?
また、どれくらいの企業が実施しているのか、どのようなメリットがあるのかも気になりますよね。
◆この記事でわかること
- 永年勤続表彰の意味や現状、メリットについて
- 永年勤続表彰で授与されるものと準備について
- 永年勤続表彰を実施するための手順や注意点
このような、永年勤続表彰にまつわる疑問や課題を本記事で解決しましょう。
ぜひ、本記事をご活用いただき、これからの準備や具体的な企画にお役立てください!
永年勤続表彰とは?
ここでは、永年勤続表彰の意味や特徴、実施割合について解説します。
永年勤続表彰は長期勤続者への表彰制度
永年勤続表彰とは、長年にわたる継続的な勤務への功労や貢献をたたえ、勤続者に慰労や感謝のしるしとして表彰する制度または行事のこと。
勤続5年から勤続40年まで5年ごとの節目に授与されるのが一般的で、企業によっては正社員だけでなく契約社員やパート従業員を対象にしている場合もあります。
さまざまな評価制度があるなかで、販売実績や営業成績といった数値化につながらない部門の従業員を評価できる制度でもあるため、評価基準に公平性がある点も永年勤続表彰の特徴です。
永年勤続表彰を実施する企業の割合は49.5%
永年勤続表彰は、福利厚生のひとつとして49.5%の企業が実施しているというデータがあります。
また、非正規従業員に対する適用割合は17.9%となりますが、永年勤続表彰を実施する企業が一定数あることがわかります。
永年勤続表彰は、入社した会社に定年まで勤めるという終身雇用制度によって定着した企業文化です。
しかし、労働条件や労働環境の社会的変化によって終身雇用を廃止したり、従業員の転職活動が一般化してきたことによって表彰対象の年数を短縮したりする企業も増えています。
一方で、さまざまある社内イベントのひとつとして、従業員への慰労や激励を目的に行われる傾向もあります。
参考:企業における福利厚生施策の実態に関する調査|独立行政法人労働政策研究・研修機構
永年勤続表彰を開催するメリット
ここでは、永年勤続表彰を開催するメリットを確認し、これから実施する際の企画に活かしましょう。
従業員の離職防止
永年勤続表彰によって、従業員の離職防止につながるのは、従業員への「この会社は長く働く人を大事にします」というメッセージだからです。
また、職場で「長く働き続けている人」として認知されるため、同僚や後輩から尊敬されたり信頼されたりして、社内での存在価値も強まります。
さらに、次の永年勤続表彰が目標となり、「この会社で長期的キャリアを築こう」という意識にもなりやすいでしょう。
従業員の労働意欲向上
永年勤続表彰は勤続者への評価であるため、従業員にとっては「これからも頑張ろう」というモチベーションアップに直結します。
功労が認められれば、自分の仕事や勤務態度に「価値がある」と自信ももてますから、労働意欲や挑戦意欲の向上につながるといった心理的効果が生まれるのも一因です。
また、永年勤続表彰によって評価されることで、従業員には「自分はこの組織の一員だ」という帰属意識が強まります。
すると、会社への愛着心や貢献意欲といったエンゲージメントが向上。
結果として、会社の目標や将来ビジョンに「積極的に関わりたい」という意識が高まり、日常業務における具体的な取り組みにもつながります。
企業文化の醸成
永年勤続表彰を定期的に開催することで、会社における評価制度として定着します。
そして、会社が功労者をたたえるという企業姿勢は、やがて企業文化として従業員の間で醸成されていくでしょう。
永年勤続表彰で授与されるもの
永年勤続表彰では、どのようなものを対象者に授与するのでしょうか。
ここでは、代表的なものを紹介しますので、これからの準備にご活用ください。
表彰状
永年勤続表彰で欠かせないのは「表彰状」です。
会社によっては「感謝状」という形で功労へのお礼をする場合もあります。
表彰状の例文は以下の通りです。
あなたは入社以来○○年の永きにわたり誠実に勤続され当社の発展に寄与されました
よってその功績をたたえここに表彰します
令和○年○月○日
株式会社○○代表取締役社長
表彰状は代表者の直筆でメッセージ性を強めたり、社風を反映したユニークなもので独自性を出したりと会社によってさまざまなスタイルがあります。
金一封
金一封は、永年勤続表彰での副賞として授与する「お祝い金」です。
勤務年数によって金額相場に差がありますので、目安となる一例を紹介しましょう。
永年勤続表彰での金一封の相場
年数 | 相場 |
5年 | 1.8万円 |
10年 | 3.6万円 |
15年 | 4.9万円 |
20年 | 7.4万円 |
25年 | 9.1万円 |
30年 | 13.3万円 |
35年 | 11.9万円 |
40年 | 14.0万円 |
出典:永年勤続表彰制度に関する調査|産労総合研究所
こちらは永年勤続表彰における平均賞金額を勤続年数別で表したものです。
2006年11月のデータですので、現在の賃金や物価などを考慮しながら適切な金額で用意しましょう。
記念品
永年勤続表彰の副賞として、特別な記念品を贈る場合もあります。
一般的に贈られる記念品には以下のものがあります。
・トロフィー
・商品券
・カタログギフト
・デジタルギフト
ほかにも、自社製品や名入りギフト、スーツや靴、腕時計などのオーダーメイドチケットと選択肢は多彩です。
永年勤続表彰の記念品において厳密な決まりはありませんので、社風や対象者に合わせ、ふさわしい記念品を選ぶようにしましょう。
特別休暇
会社によって制度や運用は異なりますが、永年勤続者だけに特別休暇が与えられる事例があります。
また、企業によっては「リフレッシュ休暇」や「サバティカル休暇」と称して、従業員の心身のリチャージを目的に永年勤続の節目に与えているケースもあります。
永年勤続表彰での金一封の書き方
永年勤続表彰で金一封を授与する場合は、ご祝儀袋の書き方をご参照ください。
表書きは「御祝」「祝勤続○年」「勤続○周年」などとし、水引は何度繰り返しても喜ばしいという意味で「紅白の蝶結び」を選びます。
贈り主は会社名や団体名、組織名など、表彰する側の名称を書きましょう。
書くときは毛筆や筆ペンを使い、ボールペンや薄墨を使わないようご注意ください。
永年勤続表彰での記念品の贈り方
永年勤続表彰で記念品を授与する場合は、掛け紙の書き方をご参照ください。
表書きは「御祝」「祝勤続○年」「勤続○周年」などとし、水引は何度繰り返しても喜ばしいという意味で「紅白の蝶結び」を選びます。
贈り主は会社名や団体名、組織名など、表彰する側の名称を書きましょう。
また、毛筆や筆ペンを使って書き、ボールペンや薄墨を使わないこともマナーです。
永年勤続表彰の実施に向けた準備
これから永年勤続表彰を実施するにあたり、開催に向けた準備について確認していきましょう。
- ●目的を明確にする
- ●対象者の範囲を決める
- ●表彰内容を決定する
- ●予算の承認を得る
- ●従業員に周知する
- ●継続的な運用に備える
それぞれのポイントを解説します。
目的を明確にする
永年勤続表彰によって、従業員になにを得てもらいたいのか、なにを与えたいのか目的を明確にしましょう。
離職防止や企業文化の醸成、モチベーションやエンゲージメントの向上など、目的によって表彰でのメッセージやイベントの内容が変わるためです。
また、全社挙げて実施する場合は、表彰される従業員だけでなく、受賞者をたたえる従業員にとっても有意義な場となるよう目的をもって実施しましょう。
対象者の範囲を決める
永年勤続表彰の対象者を正社員だけにするのか、あるいは契約社員やパート従業員も対象とするのか、表彰対象者の範囲を決めましょう。
どの節目で勤続年数を区切るのか、表彰の対象となる年数の範囲についても合わせて決定します。
表彰内容を決定する
表彰状や表彰盾、トロフィーなど、永年勤続表彰の対象者に授与する内容を決定しましょう。
また、副賞として賞金や賞品も贈るのか、特別休暇を与えるのかについても具体的に決めて、今後も制度として運用しやすくすることが大切です。
予算の承認を得る
表彰内容が決まったら、いくらの予算が必要なのか算出した上で承認を得ましょう。
永年勤続表彰の予算は、賞金や賞品のほか、会場費、飲食代などプログラムによって含まれるものが異なります。
従業員に周知する
永年勤続表彰について制度やイベントの詳細が決定したら、従業員に周知しましょう。
表彰対象者については、事前に告知してもしなくてもかまいませんが、当日はアタックムービーや登壇BGMなどで対象者に注目が集まる演出をするのもおすすめです。
継続的な運用に備える
永年勤続表彰は継続的な運用によって企業文化となり、従業員への理解も深まります。
したがって実施して終わりではなく、従業員アンケートで感想を集めたり、運営側で課題を話し合ったりして、次回以降につなげることが重要です。
永年勤続表彰で注意したいこと
永年勤続表彰では副賞として賞金や賞品を授与するため、「給与扱い」となり課税対象になることに注意しましょう。
課税対象の主なものには以下のものがあります。
・商品券
・カタログギフト(選択制)
つまり、金銭や金銭に類した換金性のあるもの、自分で自由に選べるものなどが対象です。
また、物品や旅行券などであっても、「勤続年数に見合わない高額なもの」や「前回の表彰から5年以内に支給されたもの」は課税対象となる場合がありますので、会計士や税理士などに相談した上で運用を検討しましょう。
まとめ
永年勤続表彰は長期勤続者への表彰制度で、勤続者に慰労や感謝のしるしとして実施されます。
もともと終身雇用制度によって福利厚生のひとつとして定着した企業文化です。
現在は、従業員の対象範囲を広げたり、表彰対象の年数を短縮したりして、慰労や激励を目的に行われる傾向もあります。
永年勤続表彰には「従業員の離職防止」や「従業員の労働意欲向上」、「企業文化の醸成」といったメリットがあり、雇用形態に関わらず取り入れる企業があるのも実情。
一般的に、永年勤続表彰では「表彰状」のほか、「感謝状」や「表彰盾」、「賞金」、「賞品」などが授与されます。
ぜひ、本記事で紹介したご祝儀袋の書き方や掛け紙の書き方、実施に向けた準備、注意点などを参考に、これからの企画にご活用ください。
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