会社の忘年会は毎年恒例の社内行事ですが、「行きたくない」と参加に消極的な人も存在します。
「会社の忘年会に行きたくない人はどれくらいいる?」
「会社の忘年会って行かないといけないものなの?」
「会社の忘年会に行かないときの丁寧な断り方は?」
このような、忘年会の参加/不参加に関する課題を本記事で解決しましょう。

- 会社の忘年会に行きたくない人の割合と理由
- 会社の忘年会に行かないデメリットと行くメリット
- 会社の忘年会に行かないときの断り方と例文
ぜひ、本記事を参考にしながら、会社の忘年会への参加/不参加の最終判断にお役立てください。
会社の忘年会に行きたくない人の割合は?

インターネットサービスプロバイダBIGLOBEが行った意識調査(2022年)では、職場・仕事関係の「忘年会に行きたくない人」が77.7%と約8割だったことがわかりました。
職場・仕事関係の忘年会では、
「参加したくない」(59.1%)
「あまり参加したくない」(18.6%)
引用:職場・仕事関係の忘年会に「参加したくない」8割|BIGLOBE が「2022年の忘年会に関する意識調査」を発表
しかし、コロナ禍の影響を受ける時期の調査であったことも考えられるため、新型コロナウイルス感染症の位置づけが2023年に「5類」となった後の調査結果も参考にしてみましょう。
今年職場で忘年会が開催される場合は参加したいと思いますか?
「全く参加したくない」(16.8%)
「参加したくない」(11.6%)
「どちらかといえば参加したくない」(15.8%)
Job総研による忘年会意識調査(2023年)では「忘年会に行きたくない人」は44.2%で、「忘年会に行きたい人」の55.8%を下回ったことがわかります。
2022年と2023年では調査対象者や調査会社が異なるため、株式会社クロス・マーケティングが行った忘年会に関する調査(2024年)も確認しておきましょう。
「忘年会はやらない・行かないと思う」(65.9%)
引用:Cross Marketing|忘年会に関する調査(2024年)
こちらは会社や職場の忘年会を含めた忘年会全般についての調査なので、プライベートな忘年会も想定した結果とはなりますが、「忘年会に行きたくない人」が65.9%と多数派であることがわかります。
では、なぜ忘年会に行きたくない人が時期を問わず一定数いるのか、その理由について次章で詳しく見ていきましょう。
会社の忘年会に行きたくない人の理由は?

Job総研による忘年会意識調査(2023年)では、忘年会に参加したくないと回答した人の理由も判明しました。
■忘年会に参加したくない理由
・気を使うのが疲れる 36.7%
・特に必要性を感じない 33.8%
・経済的な負担が気になる 33.2%
・プライベートを優先したい 33.0%
・仕事以外で職場の人と関わりたくない 29.7%
・お酒の席が苦手/ノリについていけない 26.4%
・お酒が好きではない/飲めない 24.2%
・感染症が気になる 24.0%
※複数回答可
以上のように、忘年会に行きたくない理由としては、精神的なものや経済的なもの、体調や体質といった健康面での懸念などが挙げられます。
特に、会社や職場といった仕事関係になると、先輩や上司、あまり交流のない同僚などが同席することになるため、プライベートな忘年会とは違ったプレッシャーがあるのではないでしょうか。
また、忘年会に参加しても残業代が発生しないケースが一般的なため、仕事の延長のように感じる場面での経済的負担が心理的に増幅するということもあるかもしれません。
あるいは新入社員や若手社員の場合、お酌や料理の取り分けといった飲み会ならではのマナーに抵抗を覚えることもあるでしょう。
会社の忘年会には行かないといけない?

会社の忘年会に行きたくない人にとっては、忘年会直前まで抱えることになる「行かないといけない?」という葛藤は悩ましいテーマではないでしょうか。
結論を先に述べると、会社の忘年会には「行かなくてもよい」ということがいえます。
ここでは、会社の忘年会に無理に行かなくていい理由について解説しますので、出欠判断の参考にしてください。
会社は忘年会への参加を強制できない
忘年会が就業時間外に開催されて残業代がつかない場合、会社が忘年会への参加を強制すると労働基準法違反となります。
あくまでも任意の行事として参加者を募るのであれば、「参加/不参加」は社員の自由な判断に委ねられなければなりません。
一方で、社内行事として就業時間内に忘年会が開催される場合は、通常、賃金や残業代が支払われますが、不参加の理由が体調や体質、健康面などであれば、やはり強制はできないでしょう。
また、会社には使用者責任があるため、任意参加の忘年会に上司や責任者が部下を強制参加させて精神的・肉体的苦痛を生じさせるとパワーハラスメント(パワハラ)事案になりかねません。
会社は参加者への飲酒を強要できない
忘年会では、お酒を飲んで楽しむ参加者もいます。
しかし、お酒を飲めない人や飲みたくない人に飲酒を強要するとアルコールハラスメント(アルハラ)事案となり、深刻なケースでは刑法違反に問われかねません。
また、たとえ飲酒を強要しないとしても、お酒が苦手な人にとっては、お酒の匂いやお酒に酔っている人の言動までが負担となる場合があります。
特に、新入社員や若手社員の場合、先輩や上司から飲酒をすすめられると断りづらいという理由で無理に飲んでしまう場合もあるでしょう。
したがって、本人がお酒を飲める飲めないに関わらず、お酒の席そのものに抵抗を感じている場合、会社は忘年会への不参加をとがめられません。
会社の忘年会に行かないデメリットは?

会社の忘年会には行きたくないけれど、やはり行かないとなると「嫌われる?」などと悩むものです。
では、会社の忘年会に行かないことで生じ得るデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
- 誤解される可能性が否定できない
- サイレント減点のリスクがある
- 仲間外れ感を味わうかもしれない
それぞれのデメリットについて解説します。
誤解される可能性が否定できない
会社の忘年会に行かないことで、「協調性がない」「コミュニケーション能力が低い」などと誤解される可能性は否定できません。
また、会社の忘年会には、従業員の一年間の労をねぎらったり、業務の向上を目的に従業員の士気を高めたりするというテーマもあるため、そこに参加しないことで仕事への意欲までを否定される懸念もあります。
サイレント減点のリスクがある
たとえ就業時間外であっても、会社の体質や風土によっては忘年会への不参加をネガティブにとらえられてサイレント減点につながるリスクがあります。
大企業や新興企業などで明確な人事評価制度を導入している場合は影響しづらいと考えられますが、人事評価に直接関与する上司や重役が主催する忘年会の場合は、評価に影響が出る可能性も否定できません。
仲間外れ感を味わうかもしれない
忘年会に参加した人たちには、忘年会の場を共有した者同士でしか理解できない一体感や連帯感のほか、参加した人同士でしか話せない共通テーマが生まれます。
したがって、忘年会に参加しなかった人は、参加した人たちから少なからず疎外感や孤立感といった仲間外れ感を味わうこともあるでしょう。
もちろん、参加した人が参加しなかった人を意図的に仲間外れにするのは社内倫理的に許されることではありませんので、本来は過剰に心配することではありません。
会社の忘年会に行くことのメリットは?

会社の忘年会に行くかどうかの判断は本人の意思に委ねられるのが本来のオペレーションですが、せっかくなら「行く」場合のメリットも確認しておきましょう。
- 社風や企業文化に触れられる
- 新たな人間関係が構築できる
- 気軽にコミュニケーションが図れる
それぞれのメリットについて解説しますので、最終判断の参考にしてください。
社風や企業文化に触れられる
会社の忘年会では飲食のほかにも余興や出し物などを楽しむ時間があるため、普段の業務では触れられない社風や企業文化に触れられる機会となるかもしれません。
たとえば、幹事の進行や立ち居振る舞いのほか、先輩や上司の宴席での過ごし方、部署や支店が違う社員同士の会話などから学べることもあるでしょう。
したがって、今後の社内行事の運営はもちろん、社内コミュニケーションにおけるスキルなど、会社の一員として順応するためのヒントが見つかるかもしれません。
新たな人間関係が構築できる
会社の忘年会には立場や所属、キャリアなどの幅広い参加者が集うため、これまで交流のなかった相手との新しい人間関係を構築できる可能性があります。
忘年会は職場での通常業務と違ってリラックスした雰囲気で行われますから、先輩や上司、他部署の同僚などであっても声がかけやすいのではないでしょうか。
忘年会で新たな人間関係が構築できれば、今後の業務においての相談や協力要請がしやすくなり、労働意欲の向上につながる場合もあるでしょう。
気軽にコミュニケーションが図れる
忘年会は飲食を中心にした参加者同士のコミュニケーションの場でもありますから、あまり話したことがない相手とでも交流しやすい機会です。
また、仕事の相談だけでなく、ワークライフバランスやキャリアアップに関する質問をしたり、プライベートを充実させるためのアドバイスをもらったりなどできる可能性もあるでしょう。
場合によっては席移動も認められますから、年次の近い社員やロールモデルにしたい社員に積極的に話しかけてはどうでしょうか。
会社の忘年会に行きたくないときの断り方

会社の忘年会への参加を断るときは、断り方のポイントを踏まえながら伝えましょう。
- 「嘘」をつかず明確に
- 断るタイミングは早めに
- 気遣いの一言で好印象に
それぞれのポイントについて解説します。
「嘘」をつかず明確に
忘年会への参加を見送るときは、「嘘」をつかず明確な理由を述べて誠実に断りましょう。
「嘘」をつくとバレたときに気まずいですし、なにより罪悪感が生まれます。
たとえば、「先約」「○○の予定」「別件の○○」「体調」「外出控え」など、本当の理由を端的に添えると相手にも伝わりやすくなるでしょう。
断るタイミングは早めに
忘年会に行くのを迷っていると時間だけが過ぎてしまいますから、断る場合は早めに連絡を入れましょう。
忘年会の直前だと幹事や主催者に迷惑がかかりますし、参加した人に対して疑心暗鬼になりかねません。
できるだけ案内をもらった数日内に担当者へ不参加の旨を伝えましょう。
気遣いの一言で好印象に
忘年会への断りは口頭でもメールでもかまいませんが、相手との関係性や普段の連絡方法に沿って行いましょう。
また、誘ってくれた相手への配慮として、ちょっとした気遣いの一言を添えておくのも大切なポイントです。
断る場合の例文
ご案内ありがとうございます。あいにく、その日は別件で○○があり、残念ながら参加できません。せっかくお誘いいただいたのに申し訳ございません。また次の機会には、ぜひ参加させてください。
ご案内ありがとうございます。あいにく、その日は実家から両親が訪ねてくることになっており、残念ながら参加できません。せっかくお誘いいただいたのに心苦しいですが、また次の機会には、ぜひ参加させてください。
ご案内ありがとうございます。ぜひ参加したいのですが、このところ体調が気になっており、夜間は自宅で休むようにしております。今回は残念ですが不参加とさせていただきます。また次の機会には、ぜひ参加させてください。
まず、忘年会に誘ってくれたことにお礼をいい、その上で断る理由とお詫び、気遣いの一言を添えて手短にまとめましょう。
まとめ

会社の忘年会に「行きたくない」と考える人は調査時期によって差があるものの、一定数は存在していることがわかりました。
それぞれの理由もさまざまですが、精神的なものや経済的なもの、体調や体質といった健康面での懸念などが挙げられます。
会社の忘年会が就業時間内かどうかによって賃金や残業代の支払われる基準は変わりますが、いずれにしても会社は従業員に対して忘年会への参加強制や飲酒強要をすることはできません。
とはいえ会社の風土によっては、忘年会に行かないことで「協調性がない」「仕事への意欲がない」などと誤解されたり、人事評価におけるサイレント減点のリスクがあったりするデメリットも否定できません。
一方で、忘年会に行くことで触れられる社風や企業文化があるほか、新たな人間関係の構築やコミュニケーションの充実などが得られるメリットもあります。
会社の忘年会に行くかどうかは本人の意思に委ねられるのが本来のオペレーションですので、メリット・デメリットを考慮しながら最終判断するようにしましょう。
どうしても会社の忘年会への参加を断るときは、断り方のポイントを踏まえながら丁重に伝えるのがマナーです。
- 「嘘」をつかず明確に。
- 断るタイミングは早めに。
- 気遣いの一言で好印象に。
本記事で紹介した忘年会の断り方の例文も参考にしながら、会社の一員としてふさわしい対応を心がけましょう。